浮世蓋風呂

よ うこそ 蓋のたぶん雑記

第0世代 獅子と天秤の乙女

※真夜中の勢いだけで書いてるため文がガバガバです

 

リオマナサ王国…世界有数の強さを誇る軍隊を持つ軍事国家。

そこに或る男がいた。

彼は様々な武勲を立て、いつしかリオマナサ最強の男とうたわれるようになった。

 

彼の部隊にあるとき、一人の魔道士の女性が志願し、入隊してきた。

彼女は強いやる気と向上心を持っていたが、あまりに魔術の腕が未熟で、

うまく戦果を挙げられていないことから、「最弱」という不名誉な異名を付けられる。

それでも彼女は「誰かを守れる強さが欲しい」その一心で、人のいない場所で

鍛錬を続けてきた。周りの嘲笑に、視線に耐えながら。

 

十数年前から大陸への侵攻を続ける謎のテロ組織、デッケルリッター。

彼女の両親もデッケルリッターに殺されたのだ。

 

ある日、戦いの中で重傷を負い、あの「最強」の男が医療班のところに運び込まれた。

戦場に出してもらえず、医療班の手伝いをしていた「最弱」の彼女もそこにいた。

するとあろうことか医療班の人間は面倒事だと彼女にすべて押しつけて

他はなあなあですませる体でいたのだ。

それでも彼女は一人になっても男の治療に専念した。その中で彼女は「癒」の

能力に目覚めるのだった。

彼女の必死の治療のおかげか通常より数段早く復帰できた男は言った。

「…俺は自惚れていた。周りがやれ最強だ英雄だとあまりにはやし立てるから、

ついその気になっちまった。周りの声に流されてこんな大ポカをやらかすなんぞ、

とんだ赤っ恥だ…

 

それに比べて、お前は強い」

 

「なぜですか?私は弱いですよ」

 

「周りの声なんか気にせず、己の道をひたすらに突っ走ってる。どんなことだって

嫌な顔せずにこなしてるじゃないか。

 

…だが、それだけじゃだめだな。嫌な奴らには一泡吹かせてやらねえと」

 

数日後、人事局の人間の大部分が「粛清」された…らしい。

 

それから数か月後、彼女は戦場の回復役として、戦士たちを心身ともに癒す存在となっていた。

 

「ふぅ。今日も疲れたわ。でも、みんなの元気のためにも頑張らなくちゃ」

「よう」

「あ、聞いてください隊長!実は…」

「…しかしお前、入ってきたばかりのころより数段成長したな」

「そうですか?ありがとうございます」

「…だが、ちょっとばかし、俺の望まない方向に事が進んじまってるみたいだ」

「へ?」

 

「…お前が笑顔を向ける相手が、俺じゃないということだ」

 

「それって、どういう意味ですか」

「………敵になっちまった昔の彼女をこの手で殺めて以来…

 

 俺は剣だけと生きる道を選んだ。

 そのはずでいたんだがな…」

 

「…」

 

「お前がどこかへ行ってしまう前に…ひとつ手を打っておくとするか…

 

 これを」

 

彼女が男に渡された箱の中には、白銀に輝く………

 

 

 

――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

獅子の心を持つ最強の戦士と、正義の星をその目に宿す最弱の女。

受け継ぐ星は二つ。

兄は強さを、弟は優しさを。

彼らもまた、いまだ猛威を振るうデッケルリッターとの戦いに身を投じることとなるのだった…。